海外研修報告

材料科学国際研修Ⅱ

工学研究科知能デバイス材料学専攻 山口さん

2022年2月から8月の半年間、ドイツベルリンにあるHelmholtz-Zentrum-Berlin (HZB)に研究留学をしてきました。 Roel van de Krol先生らのSolar fuelsのグループに滞在させていただきました。Krol先生のことは、指導教員である高村先生がご紹介くださりました。HZBは大学ではなく研究所ですが、近隣の大学との連携しており、大学院生も多数在籍していました。

写真(左)Wannseeキャンパスの門 と (右) 私の入館証

私が通ったWannseeキャンパスは、ドイツベルリンの端っこに位置していて、ポツダム宣言で聞き馴染みのあるポツダムという街のお隣にあります。ベルリン中心部からは1時間ほどの距離にあり、広場や湖が近所にあるような、自然に囲まれてのびのびとした雰囲気でした。

写真3. 最寄りのWannsee駅。同じ名前の湖がすぐ横にあります。

Krol先生のグループは、オランダ、インド、トルコ、台湾、イスラエル、フィリピン、……と多国籍な研究チームでした。私は、ドイツ語が全く話せないので、渡航前は言葉が通じないことも心配でしたが、なんとかなりました。先生方も、ポスドクも学生も、皆さんとても親切かつ礼儀正しくて、私のことを温かく向かい入れてくださいました。Krol先生のグループでは、太陽エネルギーを水素や酸素、電気エネルギーに変換する材料やセルの開発を行なっています。私は、光電気化学セルのアノード(水素発生側)の電極に関する研究に取り組みました。”エネルギー変換材料”という点では私の所属している高村研究室と同じですが、”特性評価”は、私にとっては新鮮で初めてのことが多くて、学ぶことばかりでした。HZBでは実験をするだけでなく、週に1度のRoel先生+学生の少人数ゼミや、週に1度のグループ全体のミーティングにも参加させていただきました。このような機会をいただけたおかげで、同じ居室や同じプロジェクトのメンバー以外とも関わり、HZBの研究者・学生の研究内容を知ることができました。

私はコロナ禍に留学準備をしたため、

  • 出入国制限に気を使わなければならない
  • 年の近い先輩で留学経験者がいない
  • 飛行機の便数が少ない
  • 学内で出張許可申請したり、出入国報告したり、提出する書類が増える
など、留学の実現は通常に比べても困難でした。

世界情勢の影響もあり、予約していた帰国便がキャンセルになったので、帰国日が1日前倒しになりました。私が帰国するときは、日本の入国制限が厳しかったので、PCR検査を受けるために朝6時には空港に到着してなきゃいけなかったり、迂回ルートを飛ぶためにフライト時間が2時間くらい伸びたり、と紆余曲折ありました。当初望んでいたよりも留学開始が遅くなってしまったのは残念ですが、留学を実現し、現地で研究に励み、無事に帰国できたことで、言葉では説明しがたい不思議な自信がつきました。今までとは異なる新しい環境で研究する体験ができ、海外にも互いに切磋琢磨する研究者の仲間を得られて、とてもありがたい機会でした。この留学の実現にご協力くださった、高村先生、Krol先生、GP-MS支援室、マテ会計の皆さんに感謝申しあげます。

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